長いシリーズになりましたが、コンクールへの挑戦は今日が最終回になります。
コンクール本番は独特の雰囲気があります。
参加者は練習の成果を思う存分発揮するために、物凄い集中力でウォームアップ室で身体を動かします。
参加者一人一人が、他を寄せ付けない雰囲気をまとっていて、楽屋や舞台袖の雰囲気が、緊張感の漂うものになっています。
コンクールに何度か出場経験がある彼女も、久々のこの雰囲気に少し怖じ気付いたように見えました。
場の空気にのまれてしまっている表情をしていたのを見て、私は、瞬間的に「まずいな」と思いました。
けれども乾先生が到着してウォームアップ室で先生が見守る中、最後の調整をしている間に彼女の表情はだんだんと引き締まり、とても集中した顔になって行ったので、私は安心し「大丈夫」という確信のようなものを感じました。
コンテンポラリーダンスを学び始めてたった二か月で挑んだコンクール。
彼女の目標だった海外留学には、今回は、残念ながら手が届きませんでした。
彼女はその結果を、「タイミングは今ではなかった」と受け止めたようです。
けれども、短い準備期間だったにも関わらず、入賞という結果を得られたことで、手ごたえも感じられたのではないでしょうか。
今回のコンクールで指導してくださった乾先生は、夏の合宿後に「伸び代十分」「吸収力抜群」と言ってくださいました。
彼女の良さ、個性を引き出すことに重きをおいて指導してくでさいました。
彼女の中から溢れ出るものを拾いとって広げることを意識されたそうです。
自分の心の声に耳を傾けられる人になって欲しい。 そうすれば、他人に左右されず自分の歩む道が自ずと見えてくるから、と。
今回のコンクールへの挑戦で彼女が得た財産は、集中して練習を重ねることで着実に成長することができる、という手ごたえと、素晴らしい指導者に巡り会え、彼女の能力を最大限に引き出していただける指導を受けられたこと、だったと思います。
コンテンポラリーダンサーへの挑戦はまだ始まったばかりです。